所在:千曲市八幡・桑原
北国西往還は、中山道洗場宿(現塩尻市)から分かれ、篠ノ井宿(間宿)で北国街道に合流する街道です。約80㎞の間に12の宿場があり、「善光寺街道」の名で親しまれています。慶長19年(1610)頃整備され、善光寺参りや伊勢参りの旅人で賑わいました。
街道は、洗場宿からいくつかの宿場を通って、隣り村の麻績宿に着き、猿ヶ馬場峠への山路に入ります。途中,悲恋伝説が残るお仙の茶屋跡を見て、登り終わると峠の頂上にある聖湖に出ます。猿ヶ馬場峠です。峠には村堺碑があり、いよいよ千曲市へ入り、桑原宿に下ります。
道筋には、念仏石、火打石茶屋(名月屋)跡、一里塚の原形が残る中原一里塚、のぞき(大井茶屋)などの史跡があります。この歴史を感じる古道を過ぎると、中原の豪農酒造業和田家の屋敷や七曲松(ななわだのまつ)が目に入ります。そして桑原宿、佐野川沿いにある稲荷山一里塚を経て稲荷山宿に至ります。
善光寺街道ができると桑原宿は伝馬宿となり、地域経済の中心として発展しました。その後、隣接する稲荷山宿が正式に宿場となったため桑原宿は間宿となりました。しかし、猿ヶ馬場峠の登り口にあるため、松代藩の宿場(私宿)としての役割を果しました。本陣柳沢家跡や松代藩藩士関家の建物などがあります。また、江戸後期から明治にかけて養蚕が盛んになり、養蚕に適した採光や通風を行う越屋根を載せた家が現在でも街道筋に点在しており、往時が偲ばれます。
北国西往還は、令和元年10月 文化庁の「歴史の道百選」に選定されました。
近年、歴史道への関心が高まり、街道を歩いて歴史に触れたいと思う人たちが増えています。
・桑原村史・国交省長野国道事務所