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ちくま大百科

【神社・仏閣】柏岩寺薬師堂

所在:千曲市戸倉

鏡台山柏岩寺は、貞享4年(1687)に曹洞宗永昌寺(千曲市寂蒔)の末寺として開山されました。現在(平成17年から)、無住のお寺です。木造薬師如来坐像は薬師堂に安置されています。薬師堂は、柏岩寺の南側地続きにあって、なぜか正面の小壁に菊の紋がついている古い建物です。永禄年間(1558〜1572)に、東山山腹の「上の平」(うえのていら)と呼ばれる「薬師平」から今の場所に移したと伝えられています。

※1 木造薬師如来坐像(昭和63年千曲市有形文化財に指定)
薬師如来は、古来より医薬の仏さまです。ここの薬師如来は、像高54㎝、幅47㎝の坐像で、造りは前後に剝利だけで造ってあります。したがって、内剝(うちぐり)はなく、わずかに膝裏を剝りぬいてあるにすぎません。円光の光拝、右手の平を正面に向けた施無畏印(施無畏)を結び、左手に薬壺を持ち、蓮華座に安置され、至るところに金箔を施された見事な厨子に納められています。
また、本尊薬師如来は、後醍醐天皇の第八王子「宗良親王」と深い関係あったとの口伝があります。宗良親王は柏王神社の祭神でもあります。
薬師如来信仰は、往時に比べると希薄になっていますが、毎年、11月7日は柏王の伝統のあるお祭り「お薬しゃん」が今も続いています。また、1月7日には初薬師も催しています。

※2 宗良親王の髻塚
本尊薬師如来は、後醍醐天皇の第八王子「宗良親王」と深い関わりがあったと言い伝えがあります。親王は南朝の勢力拡大を目指して各地を転戦してきましたが、この柏王の地で病に患いました。自らの髻を切って、薬師平にあった薬師如来に供え祈ったところ、霊験あらたかとなり、平癒しました。柏王の住民は親王を信濃宮と崇められ、その髻を埋めて塚を築きました。
この塚は、昔、他の地にあり、欅の大木に接し、小塚の上にあったが、道路拡張により、今の柏王神社前に移したと云われています。神社右に玉垣の囲まれて「宝篋印塔」と「信濃宮髻塚」の石碑があります。碑の表面は、題名の他親王が姨捨山で詠んだ歌と小手指原の戦い(埼玉県)の様子。裏面には親王の伝記が刻まれています。
旧北国街道に、宗良親王の髻塚への道標として「信濃宮髻塚古跡迄弐町」(明治14年再建)があります。

柏岩寺薬師堂

柏岩寺薬師堂

薬師堂厨子

薬師堂厨子

宇良親王髭塚

宇良親王髭塚

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